これから内科専門医を目指す先生方にとって、もっとも気になるのはその難易度や合格率、そして何よりJ-OSLERの負担感ではないでしょうか。実際、WEB検索で出てくる実施結果や問題数などのデータだけを見ても、現場の実感とは少し乖離があるかもしれません。「合格率9割なら余裕だろう」と高を括っていると、足元をすくわれるのがこの試験の怖いところです。
筆記試験の勉強時間や過去問対策ももちろん重要ですが、多くの専攻医が口を揃えるのは「受験資格を得るまでの道のりが険しい」という点です。私自身も経験しましたが、日々の臨床業務に追われながら、終わりの見えない症例登録と格闘する日々は、メンタル的にもかなり削られるものがあります。
この記事では、公表されているデータだけでなく、現場の専攻医が体感している「本当の難易度」について、総合内科専門医との比較や病歴要約の作成ルールも含め、合格に必要な要素を網羅的に解説します。これから専攻医になる先生も、まさに今J-OSLERと戦っている先生も、ぜひ最後まで目を通していただき、合格への道筋をクリアにしていただければと思います。
- 表面的な合格率データに隠された本当の難易度と受験資格の壁
- 膨大な出題範囲をカバーするための効率的な試験対策と勉強時間
- J-OSLERの症例登録と病歴要約29症例をクリアするための具体的戦略
- 万が一の不合格リスクを回避するための二次評価対策とツール活用

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内科専門医の難易度と合格率の真実
内科専門医試験の難易度を語る上で、公表されている合格率の数字だけを鵜呑みにするのは危険です。ここでは、試験データの実態から、実際に求められる学習量、そして上位資格との比較まで、数字の裏側にある「本当のハードル」について掘り下げていきます。
試験の合格率と実施結果の推移
日本内科学会が公表している直近の実施結果を見ると、内科専門医試験の合格率は概ね90%前後で推移しています。例えば、2024年度(第4回)の試験結果を見ても、受験者数に対する合格率は90%を超えており、数字だけを見れば「医師国家試験と同じくらいで、落とす試験ではない」と感じるのが普通かもしれません。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。この「90%」という数字は、あくまで「J-OSLER(専攻医登録評価システム)の厳しい要件をすべてクリアし、無事に受験資格を得た人」の中での合格率だからです。このスタートラインに立つこと自体が、実は非常に高いハードルになっています。
実際には、試験会場にたどり着く前に、症例登録が目標数に届かなかったり、病歴要約の作成が間に合わなかったりして、受験を断念(翌年以降に延期)する専攻医が少なからず存在します。いわゆる「J-OSLER留年」と呼ばれる事態です。彼らは受験者数(分母)に含まれていないため、統計上の合格率は高く見えますが、専攻医全体としてのストレート通過率はもっと低いと考えるべきでしょう。
また、かつての「認定内科医試験」の時代は合格率が80%台になることもありましたが、新制度の内科専門医試験は、より実践的な臨床能力を問う内容にシフトしており、単純な比較はできません。「落ちる1割」に入らないためには、油断せずにしっかりとした準備が必要です。
難易度の実態
「試験そのものが簡単」なのではなく、「受験資格を得るまでのプロセス(実務)でふるいにかけられている」と捉えるのが正解です。書類選考の倍率が高いオーディションのようなものだとイメージしてください。(出典:日本内科学会『資格認定試験 実施結果』)
必要な勉強時間と出題範囲の広さ
内科専門医試験の出題範囲は恐ろしく広いです。消化器、循環器、呼吸器といったメジャーな内科領域だけでなく、神経、血液、内分泌、膠原病、アレルギー、感染症、腎臓、さらには救急(JMECC等の初期対応)まで、内科全領域からまんべんなく出題されます。
試験形式は250題(選択式)を、120分×3時限という長丁場で解き切るスタイルです。これは朝の9時から夕方の16時40分頃まで、ほぼ一日中試験を受け続けることを意味します。単純計算で1問あたり1分半弱しか時間がなく、長文の臨床問題を読んで瞬時に判断を下す集中力と体力が求められます。
必要な勉強時間は個人差が大きいですが、多くの専攻医は「直前の詰め込みだけでは間に合わない」と口にします。特に、自分の専門分野以外の知識(例:消化器内科医にとっての神経内科領域や、循環器内科医にとっての膠原病領域など)は、初期研修レベルの記憶が薄れていることも多く、改めて学び直す必要があります。
私のおすすめは、試験の半年前くらいから少しずつ「クエスチョン・バンク(QB)」や学会の「セルトレ」に触れ始め、苦手分野を洗い出しておくことです。直前1〜2ヶ月は、ひたすら問題を解いて「臨床推論の回路」を頭に作り直す作業に集中しましょう。広く浅く、かつ抜けのない知識の再構築が合格への鍵です。
過去問や出題傾向からの対策
試験対策の王道は、やはり過去問や学会が発行する問題集の活用ですが、新制度になってからは過去問の蓄積がまだ十分ではありません。そのため、日本内科学会が実施している「生涯教育のためのセルフトレーニング問題」などが重要な情報源となります。
近年の出題傾向としては、単発の知識(「この病気の治療薬は?」といった一問一答)を問う問題よりも、「症候から鑑別診断を挙げ、優先順位をつけて検査・治療を選択する」という臨床推論(クリニカル・リーズニング)を重視した問題が増えています。実際の診療現場で「次にどう動くか」を問われるイメージですね。
特に注意したいのが、ガイドラインの改訂ポイントです。高血圧、糖尿病、心不全などのメジャーな疾患は、ガイドラインが変わると診断基準や第一選択薬が変わることがあります。古い知識のままだと失点につながるので、最新のレビューや「内科救急診療指針」などには必ず目を通しておきましょう。
対策のポイント
「難問奇問」を解けるようにするのではなく、「標準的な内科診療」を迷わず選択できる力が試されます。特に救急対応のアルゴリズム(ACLSやJMECCの内容)は頻出ですので、確実に得点源にしましょう。
総合内科専門医との違いや比較
よく比較される「総合内科専門医」は、内科専門医の上位に位置づけられる資格(または旧制度における指導医クラスの資格)です。これから内科専門医を取る先生にとっては少し先の話になりますが、両者の違いを理解しておくことはキャリアプランを考える上で重要です。
| 項目 | 内科専門医(新制度) | 総合内科専門医 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 基本領域の専門医(内科医のベースライン) | 指導医クラス・より高度な専門性と学識 |
| 合格率の目安 | 約90%(受験者ベース) | 約60〜70%(年度により変動あり) |
| 試験の難易度 | 範囲は早いが、標準的な対応を問う | 重箱の隅をつつくような詳細な知識も問われる |
| 受験資格 | 初期研修終了後、3年間の専攻医プログラム修了 | 内科専門医取得後、所定の経験年数や業績が必要 |
表からも分かる通り、総合内科専門医の方が試験自体の合格率は低く、難易度は高いです。一方、内科専門医は「内科医としての標準レベル」を保証する資格であるため、しっかりと準備すれば合格できる設計になっています。まずはこの内科専門医を確実に取得し、サブスペシャルティ(消化器専門医や循環器専門医など)を取得した後に、さらなる高みとして総合内科専門医を目指すのが一般的なルートになります。
資格更新や取得にかかる年数
内科専門医の取得には、初期研修2年+専攻医研修3年の計5年が最短ルートです。ストレートでいけば、医師5年目の終わりに認定を受けることになります。しかし、前述の通りJ-OSLERの進捗次第では、研修期間を延長せざるを得ないケースもあります。
資格取得後は、5年ごとの更新が必要となります。更新のためには、学会参加や講習受講による単位取得(共通講習、領域講習など)、そして診療実績の証明が求められます。幸いなことに、取得時のJ-OSLERのような膨大なレポート作成(病歴要約29症例など)は、現時点での更新要件には含まれていません。
つまり、「最初の5年」の集大成である認定試験さえ突破してしまえば、その後の維持は比較的スムーズだと言えます。だからこそ、最大の関門であるJ-OSLERを、専攻医期間中にいかに効率よく攻略するかが、キャリア全体を左右する重要なポイントになるのです。
内科専門医の難易度はJ-OSLERにある
多くの専攻医が「筆記試験よりも辛い」「二度とやりたくない」と嘆くのが、J-OSLER(ジェイ・オスラー)への対応です。日々の激務の合間を縫って、膨大な症例登録と病歴要約を完成させるには、医学知識だけでなく高い「事務処理能力」と「スケジュール管理能力」が不可欠です。ここでは、その難所の詳細と、私が実践した攻略法を具体的にお伝えします。
J-OSLERの受験資格と症例数
受験資格を得るための最初のハードルは、症例登録数のクリアです。修了要件として160症例以上(目標は200症例以上)の登録が求められています。160と聞くと「3年間あれば余裕では?」と思うかもしれませんが、ここには「疾患群」という厄介な縛りがあります。
ただ単に受け持ち患者を登録すれば良いわけではなく、内科の各分野(消化器、循環器、呼吸器、血液、神経など)をバランスよく経験し、それぞれのカテゴリー(疾患群)に登録しなければなりません。例えば、「肺炎」の患者さんを100人診ても、登録できるのはその中の数例だけで、残りは「実績」にはなっても「修了要件」の穴埋めにはならないのです。
特に、自分がローテートしていない科や、経験しにくい希少な疾患群をどう埋めるかが最大の悩みどころです。外来症例も登録可能ですが、上限があるため、入院症例だけで足りない分をどう補うか戦略が必要です。「あと1症例足りなくて受験できない」という悲劇を避けるためにも、1年目からこまめに登録し、足りない疾患群を早めに把握しておくことが大切です。
J-OSLERの具体的な登録テクニックや、効率的に症例を集める方法については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

病歴要約作成のルールと壁
症例登録以上に重い負担となるのが、病歴要約29症例の作成です。これは単なる退院サマリーのコピペではありません。学会が定める厳格なルール(A4用紙2枚以内、POS形式、考察の深さなど)に則って、一から書き上げる必要があります。1症例仕上げるのに数時間かかることもザラで、それを29本というのは想像を絶する作業量です。
ここが難しい!病歴要約の落とし穴
- 疾患群の重複禁止:原則として、29症例すべて異なる疾患群でなければなりません。「心不全」と「狭心症」は別の疾患群として登録できますが、「肺炎」と「肺膿瘍」が同じ呼吸器感染症の枠だと重複できない場合があります。パズルのように症例を当てはめる必要があります。
- 外来症例の制限:病歴要約に使える外来症例は最大7例までと決まっています。つまり、少なくとも22例は入院症例で多様な疾患を集める必要があります。
- 形式要件:紙面の80%以上を埋める、個人情報を完全に匿名化するなど、細かいルールが多数あります。文字数が少なすぎるとシステム上でエラーが出たり、指導医から差し戻されたりします。
この29症例を揃えるために、専攻医1年目から計画的に「良い症例」を確保しておく必要があります。「3年目の夏になってから慌てて探す」のでは、すでに退院してカルテが開けなかったり、記憶が曖昧だったりして手遅れになるケースが多々あります。
二次評価での不合格リスク
作成した病歴要約は、まずプログラム内の指導医による「一次評価」を受け、その後、日本内科学会の査読委員(外部の指導医)による「二次評価」へと進みます。ここで重要なのは、二次評価は非常にシビアであるという点です。
評価は「Accept(承認)」「Revision(修正)」「Reject(却下)」のいずれかで判定されます。Revisionになっても修正のチャンスはありますが、回数には上限(最大3回など)があり、それを超えるとアウトです。また、Reject(却下)された場合は、その症例自体が認められないため、別の症例で一から書き直さなければなりません。
さらに恐ろしいのが、「F評価」の存在です。もし病歴要約の評価で全体として「F(不合格)」がつくと、たとえ筆記試験で満点を取っても試験全体が不合格になります。実際に、筆記試験は合格ラインだったのに、病歴要約の不備で涙を飲んだ先輩もいます。
査読委員は、医学的な妥当性はもちろん、「倫理的配慮ができているか」「考察が論理的か」「参考文献が適切か」を厳しくチェックします。誤字脱字レベルではなく、医師としての資質を問われる書類審査だと心してかかりましょう。
考察作成を助ける支援ツールの活用
病歴要約で最も時間がかかり、かつ評価の分かれ目となるのが「考察」の執筆です。症例の特異性を論じ、最新の知見やガイドラインを引用しながら論理的に構成する必要があります。忙しい臨床の合間に、29症例分の深い考察を一から考えるのは至難の業です。
そこで最近では、考察作成のヒントを得るために、文献検索ツールや執筆支援ツールを賢く活用する専攻医が増えています。例えば、PubMedや医中誌で類似症例を検索したり、翻訳ツールを使って海外の論文を参考にしたりするのは有効です。もちろん、最終的には自分の言葉でまとめる必要がありますが、構成案の作成や文献のピックアップにツールを使うことで、作業時間を大幅に短縮できます。
質の高い病歴要約を効率よく作成するためのテンプレートや、評価される考察の書き方のコツについては、こちらの記事も役立ちます。テンプレートがあるだけで、書き出しの悩みから解放されますよ。
まとめ:内科専門医の難易度攻略法
内科専門医の難易度は、筆記試験そのものよりも、そこに辿り着くまでの「J-OSLER完遂」という実務的な壁にあります。合格率90%という数字に安心せず、以下の3点を意識して研修生活を送ってください。
- 早期からの計画性:専攻医1年目から「これは病歴要約に使える!」という症例をストックし、疾患群のパズルを埋めていく。
- 病歴要約の品質管理:形式不備で落とされないよう、ルールを熟読し、指導医のチェックを早めに受ける。期限ギリギリの提出は指導医への迷惑にもなり、質の低下を招きます。
- 筆記試験対策:直前は過去問と臨床推論を中心に、広範囲を効率よく復習する。特に救急領域は必須です。
これらを並行して進めることは本当に大変ですが、一つひとつ着実にクリアしていけば、必ず合格は見えてきます。まずは目の前の症例登録から、確実に進めていきましょう。
※本記事の情報は執筆時点のものです。試験制度やJ-OSLERの要件は変更される可能性があるため、必ず日本内科学会の公式サイトで最新情報をご確認ください。

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