内科専門医研修プログラムを終えられた先生方、まずは一言、本当にお疲れ様でした。J-OSLERでの膨大な症例登録、そして指導医との終わりの見えないやり取りの末に完成させた29篇の病歴要約 。長く険しい道のりを乗り越え、今、安堵されている先生も多いのではないでしょうか。
しかし、サブスペシャリティとして循環器内科の道へ進むことを決意された先生方には、次なるステップ「循環器J-OSLER」が待っています。
「またJ-OSLERか…」と、少し憂鬱な気持ちになるかもしれません。「内科J-OSLERと何が違うのだろう?」「今度はどんな要件が待ち受けているのだろう?」といった疑問や不安がよぎるのも無理はないでしょう。
ご安心ください。この記事は、そんな先生方のための「循環器J-OSLER完全攻略ガイド」です。内科J-OSLERとの違いや、循環器専門研修で求められる具体的な修了要件(症例経験・病歴要約・技術技能)、そして効率的な進め方のポイントまで、分かりやすく解説していきます。
内科専門研修で培った知識と書類作成のスキルは、必ずや循環器J-OSLERを進める上での大きな力となります。この記事を羅針盤として、循環器専門医への新たな航海へと、自信を持って出発しましょう。

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循環器J-OSLERとは?内科J-OSLERを基盤としたサブスぺ領域の研修システム
内科専門研修でJ-OSLERを経験された先生方にとって、「J-OSLER」という言葉には様々な思いがあるかもしれません。循環器J-OSLERも、その名の通り、先生方が経験された
運営主体は日本内科学会から日本循環器学会(JCS)へと変わりますが、その目的は共通しています 。すなわち、専攻医が経験した症例や習得した技術をオンラインで記録し、それに対して指導医が客観的な評価を行うことで、標準化された質の高い専門医を養成することです 。
内科J-OSLERをハブとした「サブスペシャルティ領域」の位置づけ
新専門医制度において、循環器内科は「サブスペシャルティ領域」に位置づけられています。これは、まず内科などの「基本領域」の新専門医資格を取得することが、循環器専門医になるための前提条件となることを意味します 。
- ハブ(Hub): 内科J-OSLER。内科医としての共通基盤となる研修を管理する中心的なシステムです 。
- スポーク(Spoke): 循環器J-OSLER。内科という共通基盤の上に、循環器領域に特化した研修要件を追加・調整した専門的なシステムです 。
この仕組みは呼吸器(J-OSLER-呼吸器)や腎臓(腎臓版J-OSLER)など、他の多くの内科系サブスペシャルティ領域でも採用されている標準的なモデルです 。したがって、先生方は今後、内科専門医の資格更新と並行して、この循環器J-OSLERを用いて研修記録を管理していくことになります。
あなたは対象者?利用資格を再確認
循環器J-OSLERの利用が必須となるのは、
内科専門研修でJ-OSLERの操作に慣れた先生方にとって、基本的なシステム思想は共通しているため、比較的スムーズに移行できるはずです。次のセクションからは、内科J-OSLERと具体的に何が違うのか、循環器専門医となるために求められる3つのタスクについて詳しく見ていきましょう。
循環器専門医になるための3つのタスク:症例・病歴要約・技術技能の修了要件
内科専門研修と同様に、循環器J-OSLERにも専門医試験の受験資格を得るために達成すべき、明確な3つのタスクが定められています 。内科J-OSLERの膨大な要件を乗り越えた先生方にとっては、数こそ少なく感じるかもしれませんが、その分、循環器領域に特化した専門性が求められます。
- 症例経験:36例以上 循環器専門研修中に、最低36例の症例をJ-OSLERに登録し、指導医の承認を得る必要があります 。これは単なる数合わせではなく、循環器診療の網羅性を担保するために、定められた16の疾患群にわたってバランス良く経験することが求められます 。
- 病歴要約:10症例 登録した症例の中から10症例を選び、詳細な病歴要約を作成します 。内科J-OSLERの29症例に比べると少なく感じますが、特筆すべきルールとして、10例のうち3例は手術症例または剖検症例でなければならないという制約があります 。これは、臨床経過を最終的な病理学的・解剖学的所見と対比させ、深く考察する能力を養うための重要な要件です。
- 技術技能経験:393項目以上 研修修了のためには、393項目以上という膨大な技術・技能経験を登録し、承認を得なければなりません 。心エコーや心臓カテーテル検査など、循環器診療に必須の手技が多数含まれており、計画的な経験が不可欠です。
これら「症例」「病歴要約」「技術技能」の3つのタスクをすべて完了することが、循環器専門医への道を開く鍵となります。次のセクションから、それぞれのタスクについて、具体的な要件や効率的な進め方を詳しく解説していきます。
【タスク1】症例経験36例:16の疾患群を網羅し、診療の幅を証明する
循環器J-OSLERで最初に達成すべきタスクは、
ただし、内科J-OSLERの経験でご存知の通り、これは単に数をこなせばよいわけではありません。循環器専門医として必要な診療の幅広さを証明するため、日本循環器学会が定める
専門研修を計画的に進めるため、下記のチェックリストを常に念頭に置き、経験が不足している疾患群を意識的に研修するように心がけましょう。
循環器J-OSLER 症例経験要件チェックリスト
| 疾患群 | 必要症例数 |
| 心不全 | 4例 |
| ショック | 1例 |
| 不整脈 | 6例 |
| 心臓突然死 | 1例 |
| 血圧異常 | 3例 |
| 虚血性心疾患 | 6例 |
| 弁膜疾患 | 3例 |
| 心筋疾患 | 3例 |
| 感染性心内膜炎 | 1例 |
| 肺血管疾患 | 1例 |
| 先天性心血管疾患 | 1例 |
| 全身疾患に伴う心血管異常 | 2例 |
| 大動脈疾患 | 1例 |
| 末梢動脈疾患 | 1例 |
| 静脈・リンパ管疾患 | 1例 |
| 心臓神経症・神経循環無力症 | 1例 |
【注意点】
- 心不全や不整脈・心臓突然死の項目には、さらに細分化された内訳が存在するため、詳細はJ-OSLERシステム上でご確認ください 。
- 外来症例の登録には制限があり、「血圧異常」「先天性心疾患」「失神」の疾患群に限り、最大5例までとなっています 。
このリストは、日本循環器学会が次世代の専門医に求める知識と経験の範囲を示した、いわば研修の設計図です。「心臓神経症」のような心身医学的側面や、全身疾患との関連を問う項目が含まれている点は、高度なカテーテル技術だけでなく、患者を全人的に診る能力を重視する学会の姿勢の表れと言えるでしょう 。
このチェックリストを定期的に確認し、自身の経験と照らし合わせながら、計画的に症例を経験していくことが、スムーズな研修修了への第一歩となります。
【タスク2】病歴要約10症例:手術・剖検例を含む、深い臨床考察能力の証
内科専門研修で29篇の病歴要約を経験した先生方にとって、循環器J-OSLERで求められる
10症例という数は、一見すると負担が軽く感じられるかもしれません 。しかし、このタスクには循環器専門医ならではの、質を重視した重要なルールが課せられています。
最重要ルール:10例中3例は「手術症例」または「剖検症例」
循環器J-OSLERの病歴要約における最大のポイントは、
これは単なるノルマではありません。臨床経過を生前の外科的所見や最終的な病理・解剖学的所見と対比し、自らの診断や治療の妥当性を深く省察する訓練であり、臨床医としての思考を深化させるための、極めて教育的価値の高い要件です 。
「手術症例」「剖検症例」とは?
では、具体的にどのような症例が該当するのでしょうか。内科J-OSLERの定義も参考にしつつ、循環器領域で求められる症例を理解しておくことが重要です。
- 手術症例(外科紹介症例) 原則として、①自身が主担当医として診断し、②外科的治療が必要と判断して外科医に紹介し、③全身麻酔下での開胸・開腹手術が行われた症例を指します 。循環器領域では、大動脈解離や重症大動脈弁狭窄症に対する弁置換術、虚血性心疾患に対するCABG(冠動脈バイパス術)などが典型例です 。注意点:経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)などは、内科医が主体で行うカテーテル治療であり、ここでの「外科紹介症例」には含まれないため注意が必要です 。
- 剖検症例 自身が主担当医として受け持った患者が不幸にも亡くなられ、①死亡診断に関与し、②遺族への剖検依頼に関わり、③剖検に立ち会い、④臨床経過と剖検所見を対比・考察した症例を指します 。剖検症例は経験できる機会が限られるため、研修期間中にもし担当することがあれば、必ず記録を保存しておくことを強くお勧めします。
その他のルール
- 入院症例が原則: 病歴要約は、原則として入院症例から作成します 。
- 疾患群の重複は避ける: 内科J-OSLERと同様に、10症例で疾患群が重複することは避けるよう推奨されています 。
- 文字数制限: 各項目には文字数制限が設けられており、要点を簡潔にまとめる能力が問われます 。
症例数が少ないからと油断せず、特に手術・剖検症例を早期に確保できるよう、指導医と連携しながら計画的に研修を進めていきましょう。
【タスク3】技術技能393項目:膨大なリストを制覇する戦略的アプローチ
循環器J-OSLERの最後のタスクは、
この数字を前に、圧倒されてしまう先生もいるかもしれません。しかし、重要なのは、これを闇雲にこなすのではなく、戦略的にアプローチすることです。
鍵はJ-OSLERの「モニタリング画面」にあり
この膨大なリストを制覇するための最も重要なツールが、J-OSLERの「モニタリング画面」です。この画面では、各項目で修了に必要な登録数が示され、達成状況に応じて項目の色が赤(未達)から緑(達成)へと変化します 。
そして、ここが最も重要なポイントですが、
つまり、先生方が集中すべきなのは、具体的な目標値が設定され、「赤色」で表示されている項目を計画的に経験し、登録していくことなのです。
優先すべき高頻度・必須手技の例
例えば、以下のような項目には比較的高い目標値が設定されており、優先的に経験・登録していく必要があります。
| 技術・技能項目 | 必須登録数 |
| 経胸壁心エコー | 70例 |
| 眼底検査 | 7例 |
| 腎動脈造影 | 4例 |
この要件構造は、単なる受け身の研修ではなく、自己主導型の学習、いわば「研修のプロジェクトマネジメント」を専攻医に求めています 。自身のJ-OSLERのダッシュボードを定期的に確認し、「来週の心エコー検査、私が担当させていただけますでしょうか」といったように、指導医に能動的に働きかける姿勢が、このタスクを効率的に完了させる鍵となります。
393という数字に臆することなく、モニタリング画面を羅針盤として、自身の研修を主体的にマネジメントしていきましょう。
登録から承認までの実践フロー:スムーズな研修進行のためのポイント
循環器J-OSLERは、専攻医、指導医、そしてプログラム責任者の間での厳格な手順と承認の連鎖によって成り立っています。このフローを正確に理解し、滞りなく進めることが、スムーズな研修の鍵となります。一つの遅れが全体のボトルネックになり得るため、特に手続きのタイミングには注意が必要です。
利用開始までの流れ
- 会員ポータルサイトからアクセス: すべての始まりは、日本循環器学会の「会員ポータルサイト」です 。サイトにログイン後、「循環器J-OSLER新規登録URL」からユーザー登録を開始します 。
- 48時間以内の本登録: 登録申請を行うと、本登録用のURLが記載されたメールが届きますが、このURLの有効期限は48時間と非常に短く設定されています 。この期限を逃すと再申請が必要になるため、迅速な対応が求められます。
- 登録期間の遵守: ユーザー登録は通年で可能なわけではなく、研修開始年度ごとに定められた期間内に行う必要があります。例えば、2025年4月研修開始者の登録期間は2025年3月1日から8月31日までとなっています 。
承認の連鎖:専攻医・指導医・プログラム責任者の連携
利用登録後、日々の研修記録の登録と承認は、以下の「承認の連鎖」を経て完了します。
- 専攻医によるユーザー登録申請と承認: 専攻医がシステム上でユーザー情報を登録すると、まず所属する研修プログラムの責任者(研修管理委員会委員長など)による承認が必要となります 。
- 担当指導医の登録申請と承認: ユーザー登録が承認された後、次に専攻医は自身の研修を直接指導・評価する「担当指導医」をシステム上で申請します 。この申請もまた、プログラム責任者によって承認される必要があります 。重要ポイント: この担当指導医の登録は、施設を異動する前に必ず完了させてください。異動後に申請しようとすると、承認者が不在となり研修記録が停滞する原因となり得ます 。
- 指導医による評価・承認: 担当指導医が確定すると、ようやく日々の研修記録の評価が始まります。専攻医が登録した症例、病歴要約、技術技能経験の一つひとつを、指導医がオンラインで確認し、添削指導を行った上で承認(accept)することで、研修実績として正式に記録されます 。
このように、循環器J-OSLERの進行は、指導医との良好なコミュニケーションと迅速な評価・承認作業に大きく依存します。指導医との関係は、単なる教育的な師弟関係を超え、研修の進捗を左右する重要な「管理的パートナーシップ」としての側面を強く持つことを覚えておきましょう。
まとめ:内科J-OSLERの経験を活かし、計画的に循環器専門医を目指そう
循環器J-OSLERは、一見すると複雑で burdensome なシステムに映るかもしれません。しかし、その本質は、次世代の循環器専門医に求められる能力を体系的に習得・証明するための、明確なロードマップです。
本記事で解説した3つの主要なタスクを、もう一度振り返ってみましょう。
- 症例経験36例: 16の疾患群を網羅し、循環器診療の「幅広さ」を証明する。
- 病歴要約10症例: 手術・剖検例を含むことで、臨床能力の「深さ」を示す。
- 技術技能393項目: 膨大なリストをモニタリング画面で管理し、「戦略的」に研修を進める。
これらの要件を達成するためには、日々の臨床業務に加えて、計画的な記録と指導医との密な連携が不可欠です。
そして何より、先生方には大きなアドバンテージがあります。それは、
既に内科J-OSLERという、さらに膨大な要件(160症例・29病歴要約)を乗り越えてきた経験です 。J-OSLERというシステムの思想を理解し、膨大な書類作成をマネジメントするスキルは、間違いなく先生方の体に染み付いているはずです。その経験とスキルこそが、循環器J-OSLERを効率的に進めるための最大の武器となります。
循環器J-OSLERは、単なる「関門」ではありません。質の高い循環器専門医になるための、構造化されたトレーニングプログラムです。この記事をガイドとして、先生方が持つ経験を最大限に活かし、自信を持って循環器専門医への道を歩んでいかれることを心から応援しています。

「病歴要約アシスト」は、カルテ情報を入力するだけで、AIが医学的根拠に基づいた総合考察をわずか数十秒で自動生成。面倒な文献探しや形式統一からも解放され、あなたの時間を守ります。
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