内科専門医の剖検症例(No.29)完全攻略|要件・書き方・ない時の救済措置

内科専門医を目指す専攻医の先生方にとって、J-OSLER(新内科専門医制度)における「病歴要約」の作成は、専門医試験と並ぶ最大の難関と言っても過言ではありません。その中でも特に多くの先生が頭を抱えるのが、29症例の最後に位置する「剖検症例(No.29)」です。

「自分の施設では剖検数が少なくて、どうしても症例が回ってこない」「病理結果が出るのが遅くて、期限に間に合いそうにない」「そもそも、どういう関わり方をしていれば剖検症例として認められるのか?」

このような疑問や不安を抱えたまま、手探りで準備を進めている方も多いのではないでしょうか。剖検症例は通常の臨床症例とは異なり、承認されるための「必須要件」や、評価者に響く「書き方の作法」が厳格に決まっています。ここを誤解したまま進めてしまうと、最悪の場合、病歴要約が差し戻しとなり、専門医試験の受験資格に関わる事態にもなりかねません。

この記事では、J-OSLERの公式資料や運用実態に基づき、剖検症例の定義から、疾患群重複などの特例ルール、そして評価をクリアするための具体的な書き方までを徹底的に解説します。また、どうしても症例が確保できない場合の救済措置についても触れていますので、ぜひ最後まで目を通し、戦略的な準備に役立ててください。

この記事でわかること

  • 剖検症例(No.29)として認められるための「4つの必須条件」
  • 「疾患群の重複」や「病理結果待ち」に関する特例ルール
  • 評価者視点で承認される病歴要約の書き方と考察のポイント
  • 施設に剖検がない・足りない場合の救済措置(COVID-19特例など)
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目次

内科専門医制度における「剖検症例」の位置づけと重要性

まず最初に、J-OSLERにおいて剖検症例がどのような位置づけにあるのか、その全体像を把握しておきましょう。制度の根幹に関わる部分ですので、ここを理解しておくと、指導医との相談もスムーズに進みます。

病歴要約29症例の中での「No.29」の役割

内科専門医制度の修了要件には、160症例以上の「症例登録」と、29症例の「病歴要約」が含まれています。この29症例は、内科全領域からバランスよく疾患を選択する必要がありますが、その中で「No.29」は明確に『剖検症例』枠として指定されています。

これは単に「担当患者さんが亡くなった症例」であれば良いというわけではありません。医療の質を担保し、医学的な検証を行うための「病理解剖(剖検)」が実施され、かつ専攻医自身がそのプロセスに深く関与した症例でなければならないのです。

多くの専攻医にとって、この1例を確保することは、臨床業務の忙しさとは別の次元でのプレッシャーとなります。なぜなら、剖検の実施にはご遺族の承諾が必要であり、タイミングや運の要素も絡んでくるからです。しかし、内科医として「死因を究明し、生前の診断・治療を検証する」という態度は極めて重要視されており、このNo.29は医師としての誠実さと科学的探究心を評価される最重要パートの一つと言えます。

病歴要約と症例登録の根本的な違いや、全体的な戦略については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

剖検症例(No.29)として認められる「4つの必須条件」

では、具体的にどのような関わり方をしていれば、その症例を「No.29」として提出できるのでしょうか。日本内科学会が定めるガイドラインでは、原則として以下の4つの条件すべてに関与していることが求められています。

剖検症例の必須4条件

  1. 死亡の宣告または死亡診断に関与していること
  2. ご遺族への剖検依頼(ムンテラ)に関与していること
  3. 臨床上の問題点等を整理して病理へ提出していること
  4. 実際に剖検に立ち会っていること

この4条件は、いわば「剖検症例の定義」そのものです。それぞれの項目について、実務上の注意点を掘り下げてみましょう。

1. 死亡確認・診断への関与

これは主担当医(または副担当医)として、患者さんの最期の瞬間に立ち会い、死亡確認や診断書作成に関わっていることを指します。当直帯でたまたま死亡確認だけ行った、というケースではなく、あくまで診療チームの一員として看取りに関わっていることが前提となります。

2. 遺族への剖検依頼(ムンテラ)

非常にデリケートな業務ですが、ご遺族に対して病理解剖の必要性を説明し、承諾を得るプロセスへの関与が求められます。必ずしも専攻医一人が説明を完結させる必要はありませんが、指導医と同席し、説明の場に立ち会っている事実が必要です。「上級医が承諾を取ってから呼ばれた」だけでは、厳密には要件を満たさない可能性があるため、注意が必要です。

3. 臨床的問題点の提示(病理への依頼)

病理医に対して、「この患者さんでは生前、〇〇の原因が不明だったため、そこを重点的に見てほしい」といった臨床的なリクエスト(クリニカルクエスチョン)を提出していることです。これは通常、剖検依頼書や臨床経過サマリーに記載する形で行われます。病歴要約を作成する際も、この「問い」が考察の出発点となります。

4. 剖検への立ち会い

最も物理的なハードルが高いのがこの要件です。業務時間外や休日であっても、解剖室へ赴き、執刀医(病理医)と共に臓器の状態を肉眼で確認する必要があります。「忙しくて行けなかった」は通用しません。この立ち会いを通じて得られた「生々しい所見」こそが、病歴要約のリアリティを生み出します。

(出典:日本内科学会『内科専門医試験 病歴要約 29 症例_細則』)

よくある疑問:疾患群の重複と病理結果が遅い場合の特例

剖検症例に関しては、通常のルールとは異なる「特例」がいくつか存在します。これを知っているかどうかで、症例選択の幅やスケジューリングが大きく変わります。

疾患群の重複は許されるか(外科紹介・剖検の特例)

J-OSLERの病歴要約29症例は、原則として「すべて異なる疾患群」で作成しなければなりません。しかし、剖検症例(No.29)と外科紹介症例(No.27, 28)については、他の病歴要約と疾患群が重複しても認められるという例外規定があります。

例えば、呼吸器内科の症例として「肺腺癌」を既に提出していても、剖検症例として別の「肺腺癌」の患者さんを選ぶことは可能です。「疾患群が被るから、この剖検例は使えない…」と諦める前に、この特例を思い出してください。ただし、重複が可能とはいえ、考察の切り口は全く異なるもの(一方は化学療法の評価、剖検例は死因の究明など)になるはずですので、内容のコピペは厳禁です。

病理結果が間に合わない場合の対応(肉眼所見)

「剖検は終わったけれど、最終病理診断レポート(ミクロ所見)が出るまで3ヶ月かかると言われた。提出期限に間に合わない!」
こうしたケースも多々あります。この場合、学会の規定では以下の救済措置が示されています。

病理結果待ちの特例

病理所見の確定に時間を要する場合に限り、解剖時の肉眼所見(マクロ所見)に基づいて十分な考察が可能であれば、最終診断を待たずに病歴要約を作成・提出することが認められています。

この場合、考察では「肉眼所見から〇〇が強く疑われる」といった論調で進めることになります。後日、確定診断が出た際に大きな矛盾が生じないよう、病理医と密にコミュニケーションを取り、見立ての確度を確認しておくことが重要です。

評価される「剖検症例」の病歴要約の書き方・考察のコツ

要件を満たす症例が決まったら、いよいよ執筆です。剖検症例の病歴要約は、通常の症例とは評価のポイントが異なります。査読者は「この専攻医は、患者の死から何を学んだか?」を見ています。

剖検症例ならではの必須記載事項

病歴要約のフォーマットは共通ですが、剖検症例では以下の要素を必ず盛り込むようにしましょう。

  • 剖検に至る経緯: なぜ剖検が必要だと考えたのか、ご遺族への説明と同意のプロセス。
  • 臨床的疑問点(Clinical Question): 病理医に何を解明してほしかったのか(例:真菌感染の広がり、腫瘍の原発巣、薬剤性肺障害の有無など)。
  • 剖検所見(マクロ・ミクロ): 立ち会い時の肉眼所見と、顕微鏡レベルの組織学的所見の対比。

臨床と病理の対比・考察の深め方

考察パートは、単なる経過のまとめではなく、「生前診断(臨床)」と「死後診断(病理)」の答え合わせの場です。以下の3つの視点を持つと、深みのある考察が書けます。

視点考察の書き方(例)
1. 一致点の確認生前の臨床診断や治療方針は、病理学的にも妥当であったか。画像所見と実際の病変の広がりは一致していたか。
2. 不一致点の分析生前に診断できなかった病変が見つかった場合、なぜ分からなかったのか(検査の限界か、見逃しか)。この振り返りが最も評価されます。
3. 死因の特定直接死因は何だったのか。多臓器不全などの曖昧な言葉で終わらせず、病理学的な根拠(肺水腫、出血壊死など)をもって結論づける。

書き方に迷った際は、以下の記事で紹介しているテンプレートやコツも参考にしてみてください。基本的な構成が整っていれば、あとは剖検特有の内容を肉付けするだけで済みます。

否認されやすいNG例(主担当医としての関与)

評価で最も問題になりやすいのが、「主担当医としての実態がない」と判断されるケースです。

  • 「他の先生が診ていた患者さんが亡くなったので、剖検だけ立ち会わせてもらった」
  • 「入院期間の最後数日だけ名義上の担当医になった」

このような症例を提出すると、病歴の記載が薄くなりがちで、査読者にすぐに見抜かれます。「自分が主治医として悩み、治療し、最期を看取った」というストーリーが背景になければ、良い病歴要約は書けません。

どうしても剖検が取れない・足りない場合の救済措置

「そうは言っても、うちの病院は療養型で剖検がほとんどない」「コロナ禍で剖検制限があった時期と重なってしまった」など、不可抗力で症例が集まらないこともあります。その場合の対応策を知っておきましょう。

施設での剖検数不足とプログラムの責任

まず前提として、専攻医研修プログラムの基幹施設は、所属する専攻医の数に見合った剖検を実施する努力義務を負っています(例:専攻医が年5名なら、年5体以上など)。もし施設全体の剖検数が著しく不足している場合、個人の責任にするのではなく、プログラム統括責任者に相談し、連携施設での研修や見学の機会を調整してもらう必要があります。

COVID-19影響下における特例措置(CPC代替など)

近年のCOVID-19パンデミックの影響で、感染リスクの観点から剖検が制限された期間がありました。これに対応するため、日本内科学会では年度ごとに特例措置(救済措置)を発表しています。

過去の例では、以下のような措置が取られました。

  • CPC(臨床病理検討会)レポートでの代替: 自身が担当していない症例でも、CPCに参加しレポートを作成することで要件を満たすとする措置。
  • 提出期限の猶予: 研修修了時点では未提出でも仮認定とし、専門医更新までの間に剖検症例を経験して提出すればよいとする猶予措置。

これらの措置は年度によって内容が変わるため、必ず日本内科学会公式サイトの「お知らせ」や、J-OSLER上の通知を確認してください。「取れないから無理」と諦める前に、使える制度がないか指導医と一緒に探す姿勢が大切です。

まとめ

内科専門医制度における剖検症例(No.29)は、単なる数合わせではなく、医師としての「臨床能力」と「誠実さ」を証明するための重要なステップです。

最後に、攻略のポイントを再確認しましょう。

  • 4条件(死亡診断、依頼、臨床事項提出、立ち会い)への関与は必須。
  • 疾患群の重複はOK。病理結果が遅い場合は肉眼所見でも可。
  • 書き方の核は「臨床と病理の対比」。不一致点こそ正直に考察する。
  • 症例がない場合は、プログラム責任者を巻き込んで救済措置を確認する。

この1例を乗り越えることで、専門医取得への道は大きく開けます。大変な作業ですが、一つひとつ要件を確認し、着実に準備を進めていってください。

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