JOSLER二次評価ガチャとは?専攻医を悩ませる不安の正体

J-OSLER(専攻医登録評価システム)における最大の関門、それが「病歴要約の二次評価」です。多くの専攻医の先生方が、このプロセスを指して「ガチャ」と呼び、不安を口にするのには明確な理由があります。それは、評価のプロセスに介在する「不確実性」と、それによってもたらされる「修了認定へのリスク」が、あまりにも大きいと感じられるからです。

具体的に、現場の専攻医が「ガチャ」だと感じる要素は主に以下の2点に集約されます。

  • 査読委員のランダムな割当:二次評価(プログラム外評価)は、内科学会が指定した匿名の査読委員によって行われます。自分を知らない、専門分野も異なるかもしれない「誰か」に評価されるため、「厳しい先生に当たったら終わりだ」「専門外の先生に伝わるだろうか」という疑心暗鬼が生じます。
  • 指摘の厳しさとバラつき:ある先生は「これでOK」と言った内容が、別の先生からは「根拠不足」と指摘される。こうした評価基準の揺れ(主観的なブレ)が、あたかも運任せのゲームのように感じられるのです。

特に、専門医試験の出願条件がかかっている3年目の冬などは、精神的なプレッシャーもピークに達します。「一次評価(プログラム内)はスムーズに通ったのに、二次評価で急に厳しい指摘が入ってReject(要差替え)になったらどうしよう」という恐怖は、J-OSLER世代の共通言語と言っても過言ではありません。

しかし、ここで冷静に押さえておきたいのは、「二次評価は完全な運ゲーではない」という事実です。確かに評価者の「当たり外れ」のような要素はゼロではありませんが、公式の運用ルールや評価基準を深く理解し、それに基づいた対策を講じることで、この「ガチャ要素」を限りなくゼロに近づけることは可能です。本記事では、そのための具体的なロジックとテクニックを徹底的に解説していきます。

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目次

そもそも二次評価とは?形成的評価としての公式な位置づけ

二次評価を攻略するためには、まず相手(内科学会)が何を求めているのか、その「位置づけ」を正しく理解する必要があります。多くの専攻医は「二次評価=粗探しをして落とすための試験」と捉えがちですが、公式の見解は少し異なります。

プログラム外評価の目的と「形成的評価」の意味

病歴要約の評価は、大きく分けて3つの段階で進みます。

段階評価者目的と特徴
個別評価担当指導医日々の診療の振り返り。指導医と共に作り上げる形成的評価の第一歩。
一次評価病歴指導医
統括責任者
プログラム内での評価。29症例全体としてのバランスや完成度を確認する。
二次評価査読委員
(外部)
プログラム外の第三者評価。客観的な視点で、内科専門医としての資質を確認する。

ここで重要なキーワードが「形成的評価」です。これは、単に合否を判定する(総括的評価)だけでなく、「評価を通じて専攻医の成長を促す」ことを目的としています。つまり、二次評価の査読委員には、「完璧な学術論文」を求めるのではなく、「専攻医が内科専門医として必要なプロセスを踏んでいるか」を確認し、足りない部分があればアドバイス(Revision)を与えて導く、という役割が期待されているのです。

実際に、内科学会から査読委員に向けた評価の手引きには、「評価項目を満たしていればAccept(承認)を推奨する」という趣旨の記載があります。これは、「評価者の個人的な好みや、過度に高度な学術的要件で専攻医を苦しめてはいけない」という学会側のメッセージでもあります。

「匿名性」と「ランダム性」が導入された背景

では、なぜわざわざ「匿名」で「ランダム」にする必要があるのでしょうか。それは、評価の「公平性」と「客観性」を担保するためです。

もし評価者が顔見知りの指導医だけであれば、「いつも頑張っているから」という情実で甘い評価になったり、逆に人間関係のこじれで不当な評価を受けたりするリスクがあります。プログラム外の第三者が、名前も所属も伏せられた状態で評価することで、純粋に「提出された病歴要約の中身」だけで勝負できる環境を作っているのです。

この仕組みは、一見すると「冷徹なガチャ」に見えますが、裏を返せば「誰が評価者であっても文句の出ない、標準的な病歴要約」さえ作れば、確実に通過できるシステムであるとも言えます。私たちが目指すべきは、特定の評価者の好みに合わせることではなく、この「標準的な基準」を完璧に満たすことです。

二次評価の期限・回数・判定結果【2025年度最新版】

実務において最も重要なのが、スケジュールとルールの把握です。特に期限の勘違いは致命傷になりかねません。ここでは、最新の運用ルールに基づいた正確な情報を整理します。

評価期間の恒久化と「2月20日」のデッドライン

かつては年度によって評価期間が変動することもありましたが、COVID-19対応を経て、現在は以下のスケジュールが恒久的な設定として運用されています。

J-OSLER 病歴要約 評価期間

  • 一次評価(プログラム内): 4月1日 〜 10月31日
  • 二次評価(プログラム外): 5月1日 〜 翌年2月20日

ここで絶対に注意してほしいのが、「2月20日は提出期限ではなく、Accept(承認)完了期限である」という点です(正確には、この日までに評価が完了している必要があります)。

もし2月15日に提出して、2月18日に「Revision(要修正)」が返ってきたらどうなるでしょうか? 修正して再提出し、査読委員がそれを確認して承認ボタンを押す…という工程が、残り2日で完了する保証はどこにもありません。期限を過ぎると、その年度での修了認定は不可能となり、専門医試験の受験が1年遅れることになります。

(出典:日本内科学会『COVID-19の影響に伴う内科専門研修の措置について』

Accept / Revision / Reject の3段階判定

二次評価の結果は、症例ごとに以下の3つのいずれかで通知されます。最終的に、提出した29症例すべてが「Accept」にならなければなりません。

1. Accept(承認)

問題なし。このステータスになれば、その症例については完了です。これを目指してひたすら修正を繰り返します。

2. Revision(要修正)

「記載内容に不備や不足があるが、修正すれば承認可能」という状態です。具体的な指摘コメント(例:「考察で鑑別疾患の除外根拠を追記してください」「参考文献の書式を統一してください」など)が付いて戻ってきます。

3. Reject(要差替え)

これが最も恐ろしい判定です。「症例そのものが要件を満たしていない」と判断され、その症例での申請は却下されます。修正ではなく、全く別の症例を選んで、ゼロから病歴要約を作り直さなければなりません。

修正回数の上限「3回」という罠

もう一つ、あまり知られていないけれど重要なルールがあります。それは「評価と修正のやり取り(キャッチボール)は原則3回が上限」という運用目安です。

査読委員側のマニュアルには、無限に修正を繰り返すことを防ぐため、3回程度のやり取りで決着をつけるよう記載されています。つまり、「とりあえず出して、指摘されたら直せばいいや」という安易な姿勢で不完全なものを出し続け、3回Revisionを食らうと、最悪の場合「評価不能」としてReject扱いになるリスクがあるのです。

したがって、1回目のRevisionで指摘された内容は、どんなに細かいことでも100%完璧に修正し、新たなツッコミどころを残さないという覚悟で再提出する必要があります。

ガチャ要素を排除する!合格率を高めるための重要設計

二次評価の「ガチャ」を、実務的な「確率論」に落とし込み、限りなく100%に近い勝率を叩き出すための戦略。それは、「評価者の好みが入り込む余地がないほど、公式の評価項目を物理的に満たすこと」です。

二次評価で特に重視される「6つの観点」

日本内科学会の「病歴要約作成と評価の手引き」では、以下の6つの観点が評価基準として明示されています。これらは抽象的な理念ではなく、具体的なチェックリストとして機能します。

  1. 基本的記載の正確さ:誤字脱字、転記ミスがないか。単位(mg/dLなど)は正しいか。文章は「だ・である」調で統一されているか。
  2. 症例選択の適切さ:登録した「疾患群(主病名)」と、実際に記載されている内容(治療・経過)が一致しているか。明らかに副病名での登録になっていないか。
  3. 診断プロセス:「なんとなく診断した」のではなく、症状・所見・検査結果から論理的に診断に至った根拠が示されているか。
  4. 治療の適切さ:標準治療(ガイドライン)に基づいているか。ガイドラインから外れる場合は、その正当な理由が記載されているか。
  5. 考察の十分性:教科書の丸写し(General discussion)ではなく、「この患者さん特有の病態や課題(Specific discussion)」について深く掘り下げられているか。
  6. 全人的視点・倫理的配慮:身体的な治療だけでなく、患者のQOL、社会的背景、家族への説明、退院調整、緩和ケアなどの「人間としての側面」に触れられているか。

特に「6. 全人的視点」は、近年のJ-OSLER評価で非常に重視されているトレンドです。医学的な解説だけで終わっている考察は、「内科専門医としての資質(全人的医療の実践)」が読み取れないとして、Revisionの対象になりやすいです。

作成面での“落とし穴”:物理的要件をクリアせよ

内容以前の問題として、物理的な形式要件を満たしていないためにRevisionになるケースが後を絶ちません。これらは「知っているだけで防げる」ミスですので、提出前に必ずセルフチェックを行ってください。

【提出前チェックリスト】これだけは絶対に守る!

  • A4用紙2枚以内・紙面80%以上:
    印刷プレビューで確認し、空白が目立つ場合は記述を充実させる。「80%以上」は推奨ではなく必要条件です。
  • POS(問題志向型システム)形式:
    プロブレムリスト(#1, #2…)を挙げ、それぞれの問題についてS/O/A/Pの流れで記述する。日記のような時系列の羅列はNG。
  • 個人情報の徹底排除:
    患者氏名はもちろん、イニシャル、生年月日(年齢は可)、具体的な居住地(「〇〇市」など)、病院名が特定できる記載は厳禁。
  • 薬剤名は一般名で記載:
    商品名(例:ロキソニン)ではなく、一般名(例:ロキソプロフェンナトリウム)で書く。どうしても商品名が必要な場合は「(商品名:〇〇)」と括弧書きで補足する。
  • 文献引用のルール:
    Webサイト(Wikipediaや患者向けサイト)の引用は不可。Mindsガイドラインや学術雑誌を引用し、書誌情報を正確に記載する。

これらの形式要件は、評価者の主観が入る余地のない「○か×か」の世界です。ここで減点されるのはあまりにも勿体無いので、ツールなどを使って機械的にクリアしておきましょう。

もし、具体的な書き方やテンプレートが必要な場合は、以下の記事で「指導医に一発OKをもらうための例文」を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

Revision(要修正)・Reject(要差替え)になる典型的なパターン

敵を知り己を知れば百戦危うからず。ここでは、実際に先輩たちが食らった「Revision」と「Reject」の典型例を挙げます。これらを反面教師にすることで、地雷を避けることができます。

Revision(要修正)になる例:書き方の不備

Revisionは「直せば通る」レベルの不備です。しかし、修正には指導医の再承認が必要であり、タイムロスが発生します。

  • 「考察が一般的すぎる」:
    「肺炎とは〇〇という病気であり、ガイドラインでは××が推奨される」といった、教科書の解説のような記述しかしていない場合。「本症例では高齢であり誤嚥のリスクが高いため、ガイドラインとは異なり〜を選択した」というような、個別具体的な思考プロセスが求められます。
  • 「紙面の余白が多すぎる」:
    文字数が足りず、スカスカの状態。特に検査データの部分を削りすぎていたり、考察が数行で終わっていたりすると指摘されます。
  • 「プロブレムリストの不整合」:
    病歴の中で触れられている重要な合併症が、プロブレムリストに挙がっていない、あるいはその逆のパターン。

Reject(要差替え)になる致命的な例:症例選択のミス

Rejectは「この症例では評価できません」という宣告です。これは主に「症例の選び方」そのものに問題がある場合に発生します。

  • 「主病名と治療内容の不一致」:
    例えば「肺炎」として登録しているのに、記載内容の大半が「心不全の治療」である場合。「それは心不全の症例として出すべきです」としてRejectされます。
  • 「外科紹介症例の要件不満」:
    「外科紹介」として提出したのに、実際には保存的治療で終わっていたり、内科での診療期間が短すぎて内科医としての関わりが希薄だったりする場合。
  • 「剖検症例の要件不満」:
    「剖検症例」として提出したが、生前に自分が主担当医として診療に関わっていない(死亡確認だけした、など)場合。

特に「外科紹介」や「剖検症例」などの特殊な枠組みは、通常の症例よりも要件が厳格です。これらの症例を選ぶ際のルールについては、以下の記事で詳しく掘り下げています。不安な方は必ず確認しておいてください。

最後に:JOSLER二次評価は「ガチャ」ではなく「準備」で決まる

ここまで、JOSLER二次評価の仕組みと対策について解説してきました。結論としてお伝えしたいのは、「二次評価は確かに不安なシステムだが、正しい準備をすれば恐れるに足らない」ということです。

「ガチャ」という言葉には、「自分ではどうしようもない」という諦めのニュアンスが含まれています。しかし、実際には合否のコントロール権の大部分は、提出する私たち自身が握っています。

  • 評価基準を知る:6つの観点と形式要件を把握する。
  • ルールを守る:A4・80%・POS・個人情報保護を徹底する。
  • 期限を管理する:2月20日のAccept完了から逆算して、年内には提出する。

これらを淡々と実行すれば、たとえどの査読委員に当たったとしても、あなたの病歴要約は「内科専門医として十分な水準にある」と評価されるはずです。理不尽なガチャに怯えるのではなく、万全の準備という武器を持って、自信を持ってJ-OSLERという山を乗り越えていきましょう。

また、もし「29症例も書く時間がない」「効率的に進めたい」と感じているなら、症例登録の段階から戦略的に進めることが重要です。以下の記事では、症例登録と病歴要約を連動させて効率化するコツを紹介していますので、ぜひ一読してみてください。

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